【SXSWに行ってきた】日本にいたら絶対に知り得ないSXSWの本質 #まとめ編
最後はこのSXSWの全体的なお話をしようと思います。
日本語で書かれてる記事って結構テック系の話が中心で、SXSWの本質を全くカバーできていないと思うのでそこらへんについて話せたらなと…!
SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)とは?
まとめ記事なのでここら辺も。
前に書いたものを引用します。
毎年3月に開催されるフェスティバルで、今や「スタートアップのパリコレ」とも言われる、 最新技術のショーケース。昔twitterがここのピッチで賞を取り一躍有名になったことで、このフェスティバル自体も注目されるようになった。 しかしその起源は音楽祭にあり、時代の変化に連れて最新技術のトレードショーなどもこのフェスティバルに組み込まれていきました。 現在はセッション・ピッチ・トレードショー・ゲーミングショー・フィルム・ミュージックなどの要素に分かれてオースティンのダウンタウン全体がフェスティバルの会場となり行われています。
【SXSWに行ってきた】結局何が一番面白かったの?#VR編TOP3 - おすそわけ
いきたかった理由
さて、私はなぜいきたかったのか?
このSXSWを知って調べた時に衝撃を覚えたのがその起源。VRやARなど、こぞって企業が最新技術を見せ合うこの場所の始まりはなんと「音楽祭」。
そこで直感的に、「技術とアートの融合」が頭に浮かんだ。
「この変化はその2つの境目がどんどんなくなってきていることなんじゃないか」
「技術がアートのクリエイティビティを可能にし、アートが技術の可能性をさらに広げているんじゃないか?」
いろんな仮説が頭に浮かんで、ネットで記事を漁れば漁るほど「いろんなものが相互的に渦巻くその場所へ実際に行って自分の目で、耳で確かめてみたい」という強い気持ちに変わっていきました。
そこでMercari Go Bold Scholarshipの存在を知り、応募に至ったという感じですね。
[参考:Mercari BOLD Scholarship をはじめる話 - Mercari Engineering Blog]
書類選考と面接があって、私は自分のバックグラウンドである文化人類学視点で、上記の行きたい思いの丈を熱く(いや暑苦しく?)語ったところ 運よく合格をいただけました^^
今年のスカラーシップメンバーは多様な4人だったのですが「具体的なパッションがある・発信意欲がある・協調性がある」が共通点だった印象です。もし受ける人がいたら参考にしてね。
ちなみに、今回の応募は残念ながら大々的にされたわけではなく、リンクを知ってる人だけが応募ページに飛べるシステムだったので行きたい人はそういう関連の人たちのTwitterやFacebookのフォローが必要かと…!
前置きが長くなりましたがここからは本題について!!
テック系は二の次。じゃあ主役は?
どの記事を読んでも
「テック!テック!テック!!!」
そんな私のイメージはやっぱりテック系が
ほとんどを占めているのかなというイメージでした。
でも実際に参加してみて、ここまで変化した。
あれ?テックって全然中心じゃなくない?
次期ツイッターを探せ!みたいな風潮はもはやなく、むしろ巨大化したIT企業の社会課題への関心が高まっていたように映りました。
2229ものセッションが同時多発的に10日間にわたって開催され、未来を語る。
それは必ずしも技術系の話だけでなく、「ジャーナリズムとメディア」や「多様性と包括」みたいなトピックも多々見受けられた。
WIREDの記事を読んで軽く想像はしていたが、まさかここまでテックが中心の存在ではないなんて…
もちろんテックなしでは語れない。
セッションのほとんどがテックが噛んだ話が多かった。
重要なのは「テックは決して主役ではない」ということ。
ただ、「テックを中心にクリエイティビティが渦巻く」というよりはむしろ、「クリエイティビティこそがテックを生み出していく」みたいな印象を受けた。
セッションに参加してない「視察ごっこ」はもう終わりにしよう
未来というと「最新技術」みたいなものが頭に浮かびがちだが、このSXSWで語られるのは「人間の本質」。つまり「よりよく生きるためにどんな社会を私たちは作っていくべきか」というところだった。
あらゆるオピニオンリーダーたちが意見を交わし、どんな未来を作っていくのか、真剣に語る。私が参加したセッションではFacebookの公共政策マネージャー(政策提言などをする人)がいたため、彼らの様々な対応について厳しい質問が飛び交った。
時には45分のセッション終了後より、1人の記者の3分の質問に対する拍手の方が長く大きかったこともあった。
前述したようにこのようなセッションは期間中、2229も開催されており、政治、社会、経済、文化といった複合的な観点から未来を理解するための重要なものとなっている。
しかし残念なことに周りに日本語話者は1人として見受けられなかった。会場のあらゆる場所で聞くことができる日本語を、セッションの会場では一言もきくことができなかった。
もちろん言語の壁があるのは重々承知で、話していることもやや難しめ。トレードショーなどの実際に体験できるものの方が分かりやすいかもしれない。
しかしそれはSXSWである必要があるのだろうか?
日本語の記事がテック系ばかり溢れるのも無理がないなと思いつつ、これこそ現地に来ないと感じられない「肌感」であるなと悟った。
「世界の潮流についていく」のではなく
「世界の潮流を作り出していく」存在に
「技術」という後ろ姿を見せながら語っていくのでしょうか。
そんなことを考えながら「じゃあ私は何ができるのか?」とぼんやり思う。
土台にあるのはやっぱり「アート」
そして音楽やフィルムなどのアートは、根本的な部分、いや今も土台としてフェスティバルを横断する大きな要素だった。
「起源は音楽祭だけど今はテックのお祭りだ〜〜」
なんて聞いていた私にとっては衝撃的だった。
むしろ主役は今でもアート。
各企業が最新技術を披露する"HOUSE"と呼ばれる場所でも絶えずダンスや歌、DJによる音楽が披露されていた。
この事実からも「音楽」はこのフェスティバルで、今でもダントツな存在感を醸し出していたと言える。どれだけバックグラウンドの異なる人とでも「音楽」という共通言語により仲良くなることができる、会話が生まれる、新しいインサイトを得る。
そんな会話がいくつも繋がって、また新しいものが生まれる場所になる。もちろんいくだけでその場所はかなり楽しいが、「インタラクションに加わる」ということを1つもしないで帰国するなんてSXSWに「参加した」なんて口が裂けても言えないな、という気持ちになった。
要するに、新しいものや考えを見せ合うだけでなく、そこから学び、共有し、混ざり合うことで新しいものが生まれていく場所がSXSWなのではないか。
まとめ
最後に、SXSWのディレクターの言葉を引用したいと思います。
“1987年からこのイベントは驚くほど有意義な変化を遂げてきたが、その核となるのは、アイディアを共有し、学び、出会うために世界中から人々が集まることで、SXSWがクリエイティブな人々にとってキャリアを発展させるためのツールであり続けたことだ。”
[公式サイトより引用:History | SXSW Conference & Festivals]
彼らの意図は実現できているのではないでしょうか?
クリエイティビティが新しい技術を生み出し、新しい技術がクリエイティビティをサポートする。そんなインタラクティブな場所であることがSXSWの核であり、本質だと思う。
「豊かさ」の定義はそれぞれだと思いますが
「製作者/発信者がワクワクするようなもの」 が
世の中に増えていくといいなあ。
以上、全体レポでした。
詳細はこちらもチェックしてみてください^^
日本人ウケしないかな?と思っていたfakenewsのセッションについても、報告会で意外と反応が大きかったので、四月くらいに出せたらいいなと思いますー!
2019/03/29